マンションのリフォーム・リノベーション、新築戸建はハンズデザイン一級建築士事務所|千葉県 船橋市 東京

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床のこと-第1回

こんにちは。
マンションリノベーションの住まいづくりについて、特に床のことを数回に分けてお伝えしようと思います。

第1回は、床の作り方についてお話しします。床の素材を検討するときに、しっかりと理解しておく必要があります。簡単に言うと「遮音」と「段差」によって床の作り方が決まるというお話です。

マンションの場合、下の階への騒音を防止するために、管理規約等によって床材料等の遮音等級が定められています。定められていなくてもトラブルの原因になりますので、遮音には気を配る必要があります。中古マンションを探している場合には、規約で定められていないマンションは避けたほうがいいです。

遮音する方法は3通りあります。
A. コンクリートスラブに直接、直貼用合板フローリングなどにする。
B. 遮音マットを施工して、無垢フローリングなどにする。
C. 乾式二重床・置き床を施工して、無垢フローリングなどにする。
どの方法も遮音試験データがあるものを使います。

ちなみに下の写真の右が直貼用合板フローリング、左が無垢フローリングです。
フローリング比較
これが遮音マットの施工風景。
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そして乾式二重床・置き床の施工写真です。
置床工事詳細
置床工事-1

また、遮音対策以上に床の作り方に影響するのが段差です。

マンションを解体してスケルトンにすると、コンクリートスラブはガタガタしていたり、大きな段差があったりします。
スケルトン
どんなところに段差があるかというと、ひとつがフローリング、畳、クッションフロアなど元の床の仕上げが違う部分です。なぜ段差があるかというと、素材の厚みが違うものを並べて平らに仕上げているからです。フローリングは12~15mm、クッションフロアが2.5~3mm、畳は40~60mm程度です。もうひとつが、水まわりの配管をするスペースを確保するための、100~200mm程度のもっと大きな段差です。

たとえ3mmでも段差があれば上記Bの遮音マットでの施工もAの直貼用合板フローリングの施工もできません。また、古いマンションでスラブが大きく波打っている時も、遮音マットによる施工はできません。平らにする方法が全くないわけではないですが、手間とリスクが高いためハンズデザインでは採用していません。

こうした理由から考えると条件によって大雑把に次のような選択肢があることになります。

間取りを変更せず、無垢フローリングにする場合→BまたはC
間取りを大きく変更する場合→C
元が乾式二重床・置き床の場合→C
元が直貼用合板フローリングで間取りも仕上げも変更しない場合→A

ハンズデザインは、無垢フローリングを使いますのでBまたはCで施工します。間取り変更を行うことがほとんどですので、Cの乾式二重床・置き床の場合が多いです。Cの方法なら、無垢フローリンングの他にタイルや石を検討することもできます。

Cの乾式二重床・置き床にもデメリットはあります。少なくともスラブから84mm程度の仕上厚さが必要になります。元が乾式二重床・置き床の場合はあまりデメリットにならないです。元がコンクリートスラブに直接、直貼用合板フローリングだった場合、床から天井までの高さが8cm以上低くなります。
床を上げることで天井が低くなってしまう場合、天井を取って高さを確保します。

ちなみに、元が直貼用合板フローリングかどうかは、歩いた時にフニャフニャ、フカフカした感覚になる床がそうです。

最後にリノベーション前の住まいに床暖房がある場合について、ご質問が多いのでお話したいと思います。ほとんどのマンションで採用されているTESなどのガス温水式の床暖房についてです。

ガス温水式床暖房は、給湯器と一体になっている熱源機とそれとチューブで結ばれている温水パネルによってできています。熱源機は、古くなければ再利用が可能ですが、温水パネルは再利用で行きません。フローリング材とボンドで接着されていて、非常に壊れやすい構造のパネルですので、床の解体時にどうしても壊れてしまいます。

リノベーション後も床暖房を採用する場合は、新規に施工することになります。これからご説明する無垢フローリングやフロアタイル、タイル、石などでも対応しているものがあるので床暖房を採用できます。もちろん、熱源機をそのままにして、床暖房を採用しないこともできます。マンションは暖かく、素材の選択肢が増える事や大きなコスト減になるメリットがあるため、不採用になるケースも多いです。

今回はちょっと小難しいお話になってしまいました。実はいつも説明に苦戦しています。床は面積が大きいから仕上げを選ぶ時に一番大切にしています。また、歩いた時の感覚や段差の有無、天井までの高さも重要な話題です。

マンションで『風のとおり道』を考える

今年の夏は、暑い日もありましたが、
終わってみると梅雨が長かったせいかあっという間だった気がします。

毎年夏になると、私たちの家では『エアコン問題』が浮上します。

『私たちの家』にはエアコンがありません。
船橋という海に近い土地柄かもしれませんが、風がよく吹き、
家の中は間仕切る壁がないので、南北に風の通り道が充分あります。

日中は仕事に出てしまうので、真夏でも朝晩の在宅時はエアコンがなくても、風が吹いていれば問題ありません。
しかし、ちょうどお盆休み入る前後数週間、一番暑い季節のお休みが大問題になります。
私たちの暮らしの場合、お盆休みをゆっくりと家で過ごすためだけにエアコンが必要となります。
かっこ悪いエアコンを買うぐらいなら海外逃亡も考えますが、今年から家族に加わったQ太郎(コキンメフクロウ生後3か月)のために我慢しました(笑)。

私たちがかたくなにエアコンをつけない理由は、あんまり心地良くないことやデザインで納得いくものが見つからなく、
配管ダクトが部屋の中に露出するのがどうしても受け入れられないからです。

配管の露出は壁の中に隠蔽して見えなくする方法があり、最初から計画すればできます。
私たちの家はリビングだけは隠蔽配管の準備はできていますので、
あとはかっこ良く、空間に馴染むエアコンが出ないものかと、首を長くして待っています。

前置きが長くなりましたが、マンションというコンクートの箱は風の抜け道が限られています。
当たり前ですが、コンクリートの躯体に新しく窓をつくることはできません。
風が通りやすい間取り、工夫がどうしたらできるのか。
悩ましいポイントであり、いつもなんとかしたいと思って設計に取り組みます。

そこでいくつか挑戦してきた、または挑戦したいことを書いてみようと思います。

⬛︎ 風の抜け道を玄関も含めて考える。
この方法は不動前のTさんのお宅でご提案しました。
不要な時には存在が見えなくなるように引込戸になっています。
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風は入るところ、出るところがないと流れません。
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この間取りの場合は、もともと南面にあるバルコニー側の一列にしか窓がありません。
このままでは風はなかなか動きません。でも、もう一つの開口部、玄関がありました。
これを利用しない手はありません。

オートロックのないマンションではあまりオススメできない方法ですが、
幸運にも広々とした中廊下型で、玄関ドアを開放していても周りにご迷惑をかけないつくりでした。

中廊下から中が見えないように工夫をした網戸が風を通し、内側から簡易的に施錠できるように考えています。

⬛︎ 空気が滞留する場所を極力減らす。

私たちの家づくりの考え方に『天井までの壁をできるだけ減らす』というものがあります。
壁が天井までいかないことで、視覚的な広がりを感じる他に、空気のよどむ場所を減らせるメリットもあると思っています。
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⬛︎ 部屋と部屋を空気的につなげる工夫をする。

間取りを考える時に、行き止まりのない動線を考えます。
動線が行きどまらないということは、風にも行き止まりがありません。
風の動きを遮断する扉を作らない間取り。

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※Iさんのお宅は玄関ドアを開けると風が通り過ぎるということもあり、玄関での通風はご提案していません。

引戸を開け放てば、全部が空気的につながる間取り計画をすることが大切になります。
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家族が多い場合、時として、個室をつくる必要があります。
マンションでつくる個室は多くの場合、外に面する窓は1か所しかとれません。
開口が一つだと、窓を開けても個室の中では風が動きません。

これを解決する方法の一つ目は、個室の入り口を引戸にすること。

しかし引戸を開けたままでは夜の就寝時などプライバシーが保てませんので、
その場合は引戸に可動ルーバーをつけて、風を調整できるようにすること。
(この方法は最近考えていることで、まだ事例がありません。積極的にやってみたい方は、ご相談時の時にご要望として教えて下さい!)

エアコンのない生活をしてみると、いろんな種類の風に気がつきます。
北から吹く風は窓を開けても涼しいけれど、南から吹く風は熱風のようで、とても窓を開ける気になりません。
そんな時はエアコンがあるといいのになーとひそかに思います。

風の吹き方は、土地柄に影響されるものは少なからずあると思いますが、
多くのマンションで解体して間仕切る壁がなくなると、思っていたより風が通ることに気がつきます。

工夫次第で、季節のいい時は窓を開けて風を感じ、
エアコンに頼る季節を最小限にできる生活ができるのが理想的だと思いませんか。

暮らしを楽しむ ハンギング

こんにちは。
梅雨に入りジメジメした日が続きますが、植物たちはきっと喜んでいるのでしょうね。

私たちの家で最近工夫しているハンギングのことを少しご紹介したいと思います。

マンションリノベーションでは、天井をコンクリートのままにし、
ライティングレールによる照明計画を多くご提案します。

レールには照明以外にもはめられる専用のフックがあり、S字フックなどを組み合わると
いろいろなハンギングを楽しむことができます。

例えば、ハンギングプランツ。

苔玉に巻きついたディスキディアはとても繊細で可愛らしい植物です。


千葉県の佐倉城址公園で開かれたクラフトイベント『にわのわ』で出会った『ヌイトメル』さんの、
植木鉢のハンギング皮小物。中身の鉢を自由入れ替えることができるので、植物の模様替えができるところもいいです。

先日入居後の撮影でお邪魔した不動前Tさんのお宅では、たくさんの植物ハンギングしていて、
その時に教えてもらった『駄鉢掛け』がとっても優秀だったので、紹介させてもらいます!


ステンレスの打鉢掛け


駄鉢掛けは、鉢のふちに引っ掛かりが鉢を選びません。

日光浴が必要な時は物干しへ引っ掛け、インテリアを楽しむ時に室内に入れることができるので、
植物にとっても優しいインドアグリーンの楽しみ方ですね。

他にもS字フックと木の棒を使って室内仮干しスペースとして活躍しています。

使用していないときでもインテリアになじむのと、簡単に取り外しもできるのでオススメです。

長いS字フックを使えば、椅子に置いてしまいがちな鞄やコートを仮掛けするのもいいですね。

気軽に取り外しができるので、暮らし方の変化に応じていろんな用途へ変えていけるのが魅力です。
布をハングすれば、簡単な個室空間が生まれますよね。
いろんなアイディアでハンギングを楽しんでみてください!

※ 今日ご紹介したライティングレールフックや打鉢掛けはネットで購入できます。
※ 革小物の植木鉢 『ヌイトメル』 https://nuitomeru.com/?cat=12

お風呂の楽しみ方

冬になるとお風呂につかる機会も多くなりますよね。

最近、我が家で導入した長風呂グッズをご紹介します。

ネットで2000円くらいで購入したヒバの風呂ふた。

お風呂の湯気でほのかに木の香りがします。

フラットで乾いた場所があると何かと便利。

お手軽に長風呂を楽しめるのでオススメですよ!

注意点は、入浴後ヒバの風呂ふたをしっかりバルコニーで干すことです。

是非お試しください。

洗濯機と住宅

こんにちは。お久しぶりです。

この間取り図は雑誌(エイ出版)の企画でデザインしたマンションのリノベーションです。50代ぐらいの夫婦のための住まいを想定して自由に考えてください、とのことでした。実際に工事するわけではなく、仮定の計画です。ちなみにリノベーション前の間取りがこれです。

住まい手から要望を聞くことができない分、本当はどんな風に住みたいか、自分の中でいろいろ考えることになりました。

話は変わりますが、我が家の洗濯機をそろそろ買い換えようかという話になり、家電量販店に行ってきました。でも、正直なところ買いたいと思う商品はありませんでした。そのときに改めて感じたのは、暮らしにまつわるモノゴトは、「コレはコーユーモノでしょ」という先入観と思い込みにどっぷりと浸かっているのだなということでした。

どんなものでも長い歴史の中で先人達が失敗と成功を繰り返して培ってきた知識と経験と裏付けがあって、今のカタチになっています。だから、今のカタチが正解、という考え方もあります。

でも、デザインというものは常に時代と共にあります。環境、技術、感覚などは日々変化しているので、過去の経験則がそのまま活きるとは限りません。「変化」は必要なものだと思います。

「変化」のきっかけが「不満」であることが多いような気がしています。根本のスタイルは見直さずに不満の部分のみを解決するための守備的なデザインの変化です。 洗濯機も住宅も量産されるものには、同じような守備的なデザインの雰囲気があります。率直に言ってまったく魅力的ではないモノになっています。

洗濯機のようなデザインにならないように僕が気をつけていることがあります。

ひとつは、できるだけ白紙の状態から考え始めることです。こうすることで、先入観を排除し新しいスタイルを発見できる可能性が高まります。

もうひとつは、「こうしたい」という「欲求や希望」をデザインのきっかけにすることです。それによってデザインの多様性が生まれると考えています。また、「こうしたい」という欲求には人間の習慣を変える力があるのではないかと思います。以前のやり方より「気持ちがいい」からです。

話は冒頭の間取りの話に戻ります。

玄関のドアの内側に透明なドアをつけて、在宅時には共用廊下から中が見えるようにしました。見えるのは小さなお店やギャラリーのような場所です。マンションの廊下に、ギャラリーが並んでいたら楽しいですよね。

シャワーと入浴を別の行動に分けてそれぞれの体験が向上するように考えています。

こんな間取りの住まいは多分売ってないと思います。ギャラリーなんて必要ないし、シャワーとバスタブが別々なんて使いにくいと思われるかもしれません。 でも、「こうしたい」と考える人にとっては最高の住まいのはずです。それに「自分でつくる」という方法以外には手に入らない暮らしだと思います。それがリノベーションの持つ可能性です。

僕はこんなマンションが売っていたら欲しいなぁと思います。

どなたかいかがですか?